唐招提寺
唐招提寺は、南都六宗の一つである律宗の総本山です。多くの苦難の末、来日をはたされた鑑真大和上は、東大寺で5年を過ごした後、新田部親王の旧宅地(現在の奈良市五条町)を下賜されて、天平宝字3年(759)に戒律を学ぶ人たちのための修行の道場を開きました。「唐律招提」と名付けられ鑑真和上の私寺として始まった当初は、講堂や新田部親王の旧宅を改造した経蔵、宝蔵などがあるだけでした。金堂は8世紀後半、鑑真和上の弟子の一人であった如宝の尽力により、完成したといわれます。現在では、奈良時代建立の金堂、講堂が天平の息吹を伝える、貴重な伽藍となっています。(唐招提寺HPより)
つれづれに・・・
鑑真和上が開かれた唐招提寺を訪れた。街中とは趣をことにしたこの地にひっそりと佇んでいる。広い境内には樹木が多いから落ち着くのであろうか。提寺の南エリアに二基の薬師寺三重塔が見えている。美しいその光景は実に見事である。がそうした高い塔はここにはない。大きなお堂も緑に溶け込んでいる。
南大門から入り入館手続きをし境内にを進む。両側の高木に挟まれた広い参道の正面、幅いっぱいに国宝の本堂が見える。堂内の撮影はできないが廬舎那仏坐像、薬師如来立像、四天王像、梵天、帝釈天立像の9体の国宝を拝観した。
鑑真和上坐像は小さな開山堂にて公開されおり拝観した。あまりにも有名なこの坐像を目の前にし、何か別の世界に入り込んだかの様な不思議な思いであった。訪れるまで想定しなかったのは鑑真和上御廟エリアである。木漏れ日の下、古い土壁に誘導され小さな門に至る。そこを潜ると両脇には線状の光をスポットで受けた苔庭が迎えてくれる。真正面の池に浮かんだ御廟に向かってゆっくりと進む感じは快く忘れがたい。また、校倉造の宝蔵と経蔵も印象に残る。時代を刻み込み周辺と馴染んでいる蔵は、多湿な日本の気候に対し木の特性を生かし造られたもの。蔵の室内環境を自動制御する仕組みは、まさに現代のSDGsの極み!自然と共存してきた日本人ならではの知恵が、そのまま美しい形として造られている。この姿をみるにつけ、ただ頭が下がる思いである。その多くをこと細かに撮影した。
発 行 令和5年(2023)9月20日
発行No. No. 006
写心名 唐招提寺(とうしょうだいじ)
撮影地 奈良県奈良市五条町13-46
撮影日 令和5年(2023)9月13日
撮 影 歩人
編 集 矢崎英夫
発行者 つれづれ写心栞(しゃしんかん)
発行所 写心栞工房
京都府木津川市南加茂台1-9-16
連絡先 080-3217-3297